読みもの
「どんな町に住みたいか」を言葉にする
文:春風ヨリミチ 2026.09.30
移住先を探していて、いちばん難しかったのは、「自分がどんな町に住みたいのか」を言葉にすることでした。なんとなく「住みやすい町」を調べても、町ごとの違いはよく分かりませんでした。
これは珍しいことではないようです。人の好みは、最初から頭の中にできあがっているとはかぎらず、比べたり答えたりするうちに組み立てられていく、という研究があります(Payne ほか 1999)。言葉にできないのは、ふつうのことなのだと思います。
そこで、いま自分がやるならこうする、という手順を書いておきます。
1. 「便利」を1つの物差しにしない
都会の便利さと田舎の便利さは、種類が違います。駅やお店が近い便利さもあれば、車で5分で海や山に行ける便利さもあります。「便利な町」と考えはじめると、どうしても1つの物差しで比べてしまいます。
2. ふだんの1日を書き出す
それより先に、ふだんの1日と、休みの日の過ごし方を書き出してみます。朝なにをして、どこで働いて、何を買って、休みの日はどこへ行くか。そこから、「これが近くにないと困る」「これがあったらうれしい」が見えてきます。
3. 「ゆずれない」と「あったらうれしい」を分ける
人は選ぶとき、まず「これがダメなら候補から外す」という条件で絞り、残った中で良い点と悪い点を比べる、と言われています(Tversky 1972)。雪かきだけはどうしても無理、車の運転はしない、といった「ゆずれない」条件は、先に決めてしまったほうが迷いません。
4. 候補を見てから、直す
候補の町を実際に見ると、「もう少し暖かい所がいい」「もっと大きな町がいい」と、自分の好みがはっきりしてきます。最初の答えにこだわらず、見ながら直していくほうが、納得して選べます。
このサイトの問診票は、この順番でできています
このサイトの移住先の問診票は、ここに書いた順番で作りました。ふだんの暮らしに近い9つの問いに答えると、合いそうな町を紹介状にしてお渡しします。「ゆずれない」条件をつけることもできますし、紹介状を見てから「もっと暖かい所」などの注文で選び直すこともできます。
もちろん、最後に決めるのは数字ではなく、自分の目です。紹介状は、町を見に行くきっかけとして使ってもらえたらうれしいです。
この文章は、いくつかの町に住んできた運営者の経験をもとに書いています。数字は国や公的機関の公表データです(出典はデータについて)。